教科書に載せたい話題

【セカヨク】WHO

何かと話題のWHO、フー イズ フー? 一体何なのか。もう一度おさらいしてみましょう。もしかすると、いま世界で一体何が起きているのか、少しは見えてくるかもしれません。

WHOとは、何者なのか 目的は?

だぶるりゅえぃっちおー

英: World Health Organization

日本語で表すと、 【世界保健機関】 です。

国際連合 の 専門機関です。

目的

すべての人々による、可能な限り最高レベルの健康の達成

が、目的なのです。

憲章

WHOは、【憲章】という決めごとを掲げています。この憲章の前文で、

健康」は「身体的、精神的、社会的に完全な良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない」

と、定めています。ようは、「病気してないってだけが【健康】なんじゃなくて、心身・社会 と、けっこう意味が広いよ」ということですね。

健康は、人権

また、WHOは、人間の健康を基本的人権の一つと捉えています。

「健康的に生きることは、生まれながらに持っている権利なんですよ」と言ってくれています。これはとても嬉しいことですね。

何をしてくれているの?歴史から

1948年発足

WHOは、第二次世界大戦の あとに 作られた機関だということです。戦争が起きてしまった反省を踏まえて作られたのです。

前身の機関は、アメリカ不参加だった

WHOの前身は、国際公衆衛生事務局と言われています。本部をパリに置いて、ヨーロッパを中心とした12か国の調印によって1907年に発足し、第一次世界大戦の勃発する1914年までには60か国が参加するまでになっていました。

第一次世界大戦後に 国際連盟 という組織が発足して、WHOのような世界的な保険機関を作ろうとしましたが、アメリカが国際連盟への不参加を決めたため、国際連盟とは別組織のままで存続していました。

なぜ、アメリカは国際連盟に参加しなかったのでしょう? これに関しては、僕もこれから、皆さんと一緒に勉強しなければなりません。ただ、何かの理由があったのでしょう。

そして、この後に、第二次世界大戦は起きてしまうのです。

国際連合に続いて発足

1945年、ようやく、アメリカも参加する形で国際連合が発足しました。

その後、1948年にWHOが発足し、日本は1951年に加盟しました。

疫病との闘い

WHO発足は1948年ですが、それまでにも世界各国で様々な疫病との闘いは続いていました。疫病は、世界で基準を統一して対策をしていかないと、なかなか収まるものではありません。

WHOは、世界基準の撲滅計画を立て、特別予算を組み、発展途上国の隅々までも種痘を行き届かせ、天然痘を撲滅しました。

現代においても、いくつかの疫病対策とともに、公衆衛生だけに限らない、様々な、広い意味での【健康】という課題に、世界基準を作って取り組んでいく長い過程の途中なのです。

世界の健康は、底上げされていっている。良くなっていっている、と言えます。

指標を定義・統計・公開

世界の保険・医療だけでなく、医薬品や介護、水道などに関する人的資源や物的資源の指標や、病気の罹患率や寿命など、世界全体の統計データを握っている、とても重要な機関となりました。

WHOの抱える疑惑

なにやら、不穏な動きが・・・

アメリカも加盟し、実質的に、世界の健康に関するすべての指標を牛耳ることになったWHOなのですが、残念なことに、その運営は完全に透明なものだと言うことはできません。やはり、WHOの中枢にいるのも人間である以上、何らかのエラーや、やむを得ない事情ができてしまうのでしょう。そんな、知っておくべきいくつかを紹介しておきます。

1959年~ IAEA(原発推進を掲げる機関)に従属

  → 原子力が健康を従えている

1959年に結んだIAEAとの規定では、「IAEA(原発推進を掲げている)の許可なしに、放射線の影響における科学論文を公表してはならない」となっています。WHO事務局長であった中嶋宏氏は、この事について「放射線の影響の研究に関しては、WHOはIAEAに従属している。原子力が健康を従えている」と発言しています。

2009~2010年 偽パンデミック問題

  → 製薬会社との癒着疑惑

2009年から2010年にかけての新型インフルエンザの世界的流行に際し、WHOのマーガレット・チャン事務局長は「今、すべての人類が脅威にさらされている」として、新型インフルエンザをすべての人類の脅威とする広報を行った。その後、新型インフルエンザが弱毒性である事が発覚するも、顕著な感染や死亡の被害が著しい事態を想定した警告であるフェーズレベル6/6と警告し、パンデミック(世界的大流行)を宣言しました。 しかし初の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)の対象にまでになった新型インフルエンザは前例のない保健当局と科学者と製薬会社が強力に連携する体制をもたらしましたが、実際は他の季節性インフルエンザと大差ないレベルのインフルエンザで被害も小さなものでした

一連のWHOの誤報への批判が高まり、これを重く見た欧州議会は、パンデミック宣言に至った経緯の調査に踏み出す事態となりました。

欧州議会のボーダルク前保健衛生委員長は、WHOの宣言は偽のパンデミックであったとして問題提起をしています。WHOの意思決定には製薬会社の意向が大きく影響した可能性が高いとしています。製薬会社は研究所などで働く科学者へ大きな影響力を持っており、この事と今回WHOが広く科学者の意見を求めた事がその影響力を強める原因になったと語っています。

結果的には、2010年1月になるとワクチンが世界的に余剰状態となり、キャンセルや転売が相次ぐ事態となっています。

2020年 ウイルスをめぐる対応の遅れと政治性の指摘

  → トランプ政権からの指摘

2019年新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患の対応をめぐり、流行が始まった2019年12月の時点でヒトからヒトへの感染が起きた可能性があるという報告を台湾から受けていたにも関わらず、台湾によるWHO総会への参加が認められていないことや情報を国際社会に示さなかったことへの批判があります。

2020年4月、アメリカのトランプ大統領はCOVID-19をめぐるWHOの一連の対応について「失敗」と評価。また、アメリカから大規模な出資を受けながら「中国中心主義」で、世界に不適切な提言を行っていると批判し、WHOへの拠出金を停止する考えを示しました。 同国国務省は「公衆衛生より政治を優先した」と批判した上で「アメリカを含む加盟国はWHOの一連の対応について問題点を検証するべきだ」としました

WHOは台湾からの通知について、AFP通信の取材に対して「ヒトからヒトへの感染について言及はなかった」と否定しました。それを受けて台湾当局は「中国の武漢で非定型の肺炎が少なくとも7例出ていると報道されている。現地当局はSARSとはみられないとしているが、患者は隔離治療を受けている」といった内容が含まれるWHO宛の通知の全文を公開し、「隔離治療がどのような状況で必要となるかは公共衛生の専門家や医師であれば誰でもわかる。これを警告と呼ばず、何を警告と呼ぶのか」と述べ、WHOが台湾の情報を生かしていれば、感染拡大へ早く対処できたと主張しました

WHOをめぐる、各国の思惑

WHOを癒着構造と見たのならば、もし、パンデミックに関わる国際的な責任を逃れたい国があったとしたら、擦り寄ってきてもおかしくないでしょう。現に中国政府はWHOに、2020年3月に、2000万ドルの寄付をすると伝えています。

また、WHOは、世界中の医薬品などを認可する権限をもっています。感染症に対するワクチンの認可まで、どこかの企業に何らかの取り計らいをしてしまうことができると考えると、ワクチンそのものに対する世界中の不信を招いてしまいます。

「世界」と銘打つ機関だからこそ、透明性を高めてもらいたいものです。

まとめ

健康に関する世界基準は、確かに必要です。

しかし、トランプ大統領が指摘する通りの、公衆衛生より政治を優先するような機関ならば、僕たちは、可能な限りの健康を達成できないばかりか、余計な心配をしながら生きていかなければなりません。

WHOの動向次第では、今後、日本の法改正にも悪影響がないとは言い切れません。

また、日本は、WHOのミスを指摘し追及せよというトランプ大統領側からの圧力と、WHOが正しいということにしておけという中国政府側からの圧力がかかっているのは、地政学的な相関関係を見る限り明らかです。この厄介な板挟みをどう乗り切るのか。相当厄介な局面にあると言えます。

今後の動向を、注視していきましょう。